小説
高校時代はどんな青春を送っていたか、もう思い出せないでいた。
卒業してからは普通に大学に入りそれから2年程、誕生日を迎えた辺りで数えるのがめんどくさくなり歳の事を考えるのをやめた。今は23、4歳ぐらいか?そんなに時間が経ったとしら高校時代の劇的なシーンも、心揺れる恋物語も忘れてしまっていてもしょうがない。決して全く無かった訳では無いはずだ。それでもこんないじめはなかったし両親とも楽しく過ごしていた事は覚
えている。
大体察しは着くけれど、三秋は家庭環境の影響でいじめを受けていた。三秋凛には1人の姉がいたようだった。三秋華江。ひとつ歳上の元気で明るく、アイドル並みに可愛いらしい。頭も良く、平均より高い成績。三秋凛とも仲良く正に絵に描いたような家族だったらしい。けれどある事件の影響で崩壊が起きたようだ。最近ニュースに出ていた通り魔に姉が刺されたのだ。
姉の彼氏、樋川秋也とのデート中に腹部を包丁で刺されたという、何処にでもある事件。
急いで病院に運ばれ集中治療を受けたが間も無くして息を引き取ったのだ。
それからは家族は一気に壊れ始める。
父は三秋華江がまだ生きていると錯覚し、家を出たきり消息不明。母は死ぬ方が姉ではなく凛が死ねばよかったのだと言い、昼は暴力を、夜は酒を飲み色んな男を連れ混んでいる。そのせいで母に飽きた色んな男が今度は三秋凛に手を出し始めた。
その事を佐野に相談し、まずは家庭を治すために父の捜索を始めたのだった。