一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
樹が、自分のことを大事に思ってくれているのが伝わってきた。血の繋がった家族が欲しいなんて、今思えばなんて酷い願いなんだろうと泣きたくなる。自分のそばには、家族と呼べる人がいたのに。
「ごめん……。ごめんね、たっちゃん……」
あまりにも短絡的な自分が情け無くて、あんなことを考えていたことがとても後ろめたい。震える声で謝ると、同時にぽつりと涙が溢れた。
「謝らなくていい」
困ったような表情を見せる樹は、向かいから腕を伸ばし、由依の頭を慰めるように撫でた。
「由依。一緒に暮らそう。前から言ってたろ? 家探してるって。いいところ見つかってな。近いうちに引っ越すつもりだ」
「でも……。たっちゃん、眞央さんと住むための家でしょ? 私がいたら邪魔じゃ……」
樹の公私とものパートナーである眞央は、今パリで仕事をしている。長い付き合いで、由依も何度も会ったことがあった。穏やかでゆったりとした空気をまとう、雰囲気のある人だ。ファッションスタイリストをしていて、仕事を通じて知り合ったと聞いている。いずれ眞央は帰国して、二人は一緒に住むつもりだと話していた。
「ごめん……。ごめんね、たっちゃん……」
あまりにも短絡的な自分が情け無くて、あんなことを考えていたことがとても後ろめたい。震える声で謝ると、同時にぽつりと涙が溢れた。
「謝らなくていい」
困ったような表情を見せる樹は、向かいから腕を伸ばし、由依の頭を慰めるように撫でた。
「由依。一緒に暮らそう。前から言ってたろ? 家探してるって。いいところ見つかってな。近いうちに引っ越すつもりだ」
「でも……。たっちゃん、眞央さんと住むための家でしょ? 私がいたら邪魔じゃ……」
樹の公私とものパートナーである眞央は、今パリで仕事をしている。長い付き合いで、由依も何度も会ったことがあった。穏やかでゆったりとした空気をまとう、雰囲気のある人だ。ファッションスタイリストをしていて、仕事を通じて知り合ったと聞いている。いずれ眞央は帰国して、二人は一緒に住むつもりだと話していた。