一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
眞央は、性別で言えば男性で、樹の公私とものパートナーでもある。
二人が出会ったのは、樹が就職してすぐのまだ二十代の始め。仕事が縁で話すようになり、しばらくしてから付き合うようになったらしい。もちろん、男性だと知った上で。
樹が家に眞央を連れてきたのは、もう付き合いだして数年経っていたころだ。改まって紹介したい人がいると言われて、まだ健在だった両親と待ったことをよく覚えている。
樹はかなり悩んだらしい。自分が同性愛者で、この先の一生を共にしようと考えている相手が同性だと告白することを。
神妙な顔をした樹を前に、父も母も、そして自分も緊張していた。意を決して自分のことを全て話した樹に、父はホッとしたように息を吐いた。
『知ってたよ。そうだろうなって』
笑顔でいう父に、樹は唖然としたように口を開いていた。
『いつか話してくれたらいいなとは思ってた。ありがとな。話してくれて。俺はずっと、樹にいい相手が現れるのを願ってた。……眞央さん、樹をよろしく頼む』
そう言って頭を下げた父が顔を上げるころには、もう二人の目からは涙が溢れ落ちていた。
二人が泣いているのを見たのは、後にも先にもこれっきり。その涙が、なんて美しいのだろうと、当時貰い泣きしながら思っていた。
そして今、眞央も自分と灯希にとって大切な家族になっていた。
二人が出会ったのは、樹が就職してすぐのまだ二十代の始め。仕事が縁で話すようになり、しばらくしてから付き合うようになったらしい。もちろん、男性だと知った上で。
樹が家に眞央を連れてきたのは、もう付き合いだして数年経っていたころだ。改まって紹介したい人がいると言われて、まだ健在だった両親と待ったことをよく覚えている。
樹はかなり悩んだらしい。自分が同性愛者で、この先の一生を共にしようと考えている相手が同性だと告白することを。
神妙な顔をした樹を前に、父も母も、そして自分も緊張していた。意を決して自分のことを全て話した樹に、父はホッとしたように息を吐いた。
『知ってたよ。そうだろうなって』
笑顔でいう父に、樹は唖然としたように口を開いていた。
『いつか話してくれたらいいなとは思ってた。ありがとな。話してくれて。俺はずっと、樹にいい相手が現れるのを願ってた。……眞央さん、樹をよろしく頼む』
そう言って頭を下げた父が顔を上げるころには、もう二人の目からは涙が溢れ落ちていた。
二人が泣いているのを見たのは、後にも先にもこれっきり。その涙が、なんて美しいのだろうと、当時貰い泣きしながら思っていた。
そして今、眞央も自分と灯希にとって大切な家族になっていた。