一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
働き始めると、一日の過ぎるスピードは増したように感じる。早いものでもう九月の半ばになり、秋の気配をいっそう色濃く感じ始めた。
「えっ? テレビ、ですか?」
出勤した自分に松永先生から告げられたのは、園にテレビカメラが入るという話だった。
なんでも平日の夕方に流れるニュースの特集で、福利厚生に力を入れている企業として親会社が選ばれたのだという。撮影は園だけではなく、このビルにある従業員専用のカフェテリアなども入っていて、流れるのはほんの数分だろうということだった。
「ごめんね、急で。保育室も撮影するけど、普段通りにしてくれていいからね」
先に知っていたのか、いつもより、少しだけ上等なジャージ姿の松永先生がなんだか微笑ましい。
この園に決まった服装はないが、汚れることもあるし動き回る仕事で、周りの保育士も皆、ほぼ下はジャージで上はポロシャツやTシャツ姿だ。
(先に聞いてたら、もうちょっとマシな格好してたんだけど。まぁ、いいか)
少し緊張しながら、由依は仕事に入った。
給食までの自由遊びの時間に、大きな機材を持ったスタッフがやってきた。保育室で遊ぶ子どもたちをバックに、松永先生が受け応えする様子を撮影している。もちろん自分たちも映っているだろう。なんだか気恥ずかしい。
「瀬奈先生! これ、一緒!」
カメラを気にしつつ子どもたちを見ていると、四歳になる女の子が自分の服に描かれている絵と同じ表紙の絵本を持ってきた。
「えっ? テレビ、ですか?」
出勤した自分に松永先生から告げられたのは、園にテレビカメラが入るという話だった。
なんでも平日の夕方に流れるニュースの特集で、福利厚生に力を入れている企業として親会社が選ばれたのだという。撮影は園だけではなく、このビルにある従業員専用のカフェテリアなども入っていて、流れるのはほんの数分だろうということだった。
「ごめんね、急で。保育室も撮影するけど、普段通りにしてくれていいからね」
先に知っていたのか、いつもより、少しだけ上等なジャージ姿の松永先生がなんだか微笑ましい。
この園に決まった服装はないが、汚れることもあるし動き回る仕事で、周りの保育士も皆、ほぼ下はジャージで上はポロシャツやTシャツ姿だ。
(先に聞いてたら、もうちょっとマシな格好してたんだけど。まぁ、いいか)
少し緊張しながら、由依は仕事に入った。
給食までの自由遊びの時間に、大きな機材を持ったスタッフがやってきた。保育室で遊ぶ子どもたちをバックに、松永先生が受け応えする様子を撮影している。もちろん自分たちも映っているだろう。なんだか気恥ずかしい。
「瀬奈先生! これ、一緒!」
カメラを気にしつつ子どもたちを見ていると、四歳になる女の子が自分の服に描かれている絵と同じ表紙の絵本を持ってきた。