一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
いつもは時間があまりないぶん、事前にリサーチしてから絵本を買っているが、今日は知らない本と出会えそうだ。
すっかり行き慣れた児童書のコーナーに真っ先に向かい、ウキウキした気分で絵本を見て回った。
繰り返し語り継がれた、オーソドックスな絵本はだいたい揃っている。最近の絵本も面白いものがたくさんあり、あれこれ時間を忘れて試し読みをしていた。
数冊手に取り、次は別のコーナーに向かう。眞央と二人でよく参考にしている料理研究家のレシピ本を探したり、文房具のコーナーで樹が使いそうな筆記用具を選んだり。かなり広い書店内をくまなく回っていると、いつのまにかスーツ姿のサラリーマンが増えていることに気づいた。
(会社帰りの人が増える時間なのか……)
まだ六時を回ったばかりだが、電車も混むだろうし帰ろうと踵を返す。
「あっ!」
肩に衝撃を受け、持っていたものを落としそうになった。後ろをよく見ていなかった自分が悪いのだが、急に振り返ったため、立っていた人にぶつかったのだ。
「すみません! 大丈夫ですか?」
スーツ姿の男性を見上げ謝ってから、あれ? と思う。相手も同じような、不思議そうな表情をしたあと「あっ!」と声を上げた。
「えっと、瀬奈さん。瀬奈さんだよね? ほら! だいぶ前だけど居酒屋で一緒になった佐倉。覚えてる?」
佐倉は懐かしそうにそう言って、笑顔を浮かべた。
すっかり行き慣れた児童書のコーナーに真っ先に向かい、ウキウキした気分で絵本を見て回った。
繰り返し語り継がれた、オーソドックスな絵本はだいたい揃っている。最近の絵本も面白いものがたくさんあり、あれこれ時間を忘れて試し読みをしていた。
数冊手に取り、次は別のコーナーに向かう。眞央と二人でよく参考にしている料理研究家のレシピ本を探したり、文房具のコーナーで樹が使いそうな筆記用具を選んだり。かなり広い書店内をくまなく回っていると、いつのまにかスーツ姿のサラリーマンが増えていることに気づいた。
(会社帰りの人が増える時間なのか……)
まだ六時を回ったばかりだが、電車も混むだろうし帰ろうと踵を返す。
「あっ!」
肩に衝撃を受け、持っていたものを落としそうになった。後ろをよく見ていなかった自分が悪いのだが、急に振り返ったため、立っていた人にぶつかったのだ。
「すみません! 大丈夫ですか?」
スーツ姿の男性を見上げ謝ってから、あれ? と思う。相手も同じような、不思議そうな表情をしたあと「あっ!」と声を上げた。
「えっと、瀬奈さん。瀬奈さんだよね? ほら! だいぶ前だけど居酒屋で一緒になった佐倉。覚えてる?」
佐倉は懐かしそうにそう言って、笑顔を浮かべた。