一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
美礼に淹れ方を教えてもらった紅茶に冷たいミルクを添える。ケーキとフォークを皿に置き一緒にトレーに乗せると、それを持ってすぐそこに見えているリビングへ向かった。
「お待たせ。美礼ほど上手に淹れられた自信はないんだけど……」
そう言って由依の前にソーサーとミルクを置く。また緊張しているのか、由依は硬い表情で首を振った。
「……いただき……ます」
「どうぞ。それと、ケーキはこっちでよかった?」
箱に入っていたのは二つ。美礼は端から由依と自分のために選んだのだろう。一つは、甘いものをそう食べることのない自分が唯一食べると言っていいチーズケーキだったからだ。
もう一つの、その名を表す山の形をした、モンブランを小さなローテーブルの向かいから由依に差し出す。それからソファに座る彼女の顔を見上げて口角を上げた。
不安に揺らいでいる彼女の瞳と視線が合うと、その瞳にみるみるうちに水滴が浮かんだ。
「ごめん……なさい……」
唇を震わせ紡いだ言葉は謝罪だった。それと同時に水滴はポタポタと滴り落ちた。
由依に謝る理由はある。自分に嘘をついたことは、彼女にとって一番後ろめたいことなの知れない。けれど……。
由依に向かって首を振って見せる。そして静かに切り出した。
「謝らなくていいよ。僕も、謝りたいことがあるから……」
「でも、私……酷いことを……しました。約束してって……言われたのに、最初から守るつもり、なくて……」
しゃくりを上げ泣きながら由依はそう言った。そんな彼女を真っ直ぐ見て、表情を緩める。
「由依は何も悪くない。今はただ……また会えて嬉しいんだ。もう会えないと思っていたから。これで……二度目だ」
「お待たせ。美礼ほど上手に淹れられた自信はないんだけど……」
そう言って由依の前にソーサーとミルクを置く。また緊張しているのか、由依は硬い表情で首を振った。
「……いただき……ます」
「どうぞ。それと、ケーキはこっちでよかった?」
箱に入っていたのは二つ。美礼は端から由依と自分のために選んだのだろう。一つは、甘いものをそう食べることのない自分が唯一食べると言っていいチーズケーキだったからだ。
もう一つの、その名を表す山の形をした、モンブランを小さなローテーブルの向かいから由依に差し出す。それからソファに座る彼女の顔を見上げて口角を上げた。
不安に揺らいでいる彼女の瞳と視線が合うと、その瞳にみるみるうちに水滴が浮かんだ。
「ごめん……なさい……」
唇を震わせ紡いだ言葉は謝罪だった。それと同時に水滴はポタポタと滴り落ちた。
由依に謝る理由はある。自分に嘘をついたことは、彼女にとって一番後ろめたいことなの知れない。けれど……。
由依に向かって首を振って見せる。そして静かに切り出した。
「謝らなくていいよ。僕も、謝りたいことがあるから……」
「でも、私……酷いことを……しました。約束してって……言われたのに、最初から守るつもり、なくて……」
しゃくりを上げ泣きながら由依はそう言った。そんな彼女を真っ直ぐ見て、表情を緩める。
「由依は何も悪くない。今はただ……また会えて嬉しいんだ。もう会えないと思っていたから。これで……二度目だ」