一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
温かな液体が指を伝う。いつのまにか頰には、一筋の涙が流れていた。
「大智……さん……?」
戸惑いながら自分を呼ぶ由依の手に、そっと自分の手を重ねた。
「僕は、君の願いを叶えていたんだね……」
彼女があの日欲しがった、血の繋がった家族を与えられたのが何よりも嬉しかった。反面、それを言い出せなかったのは自分の所為ではないかと罪の意識が込み上げた。
「怒らないんですか? 勝手なことをして……」
「怒る理由なんてないよ。由依が僕に言えなかったのは……。僕が結婚できないなんて、事情も話さず不誠実なことを言ったからだ」
由依は大きく首を振りながら「そんなっ……」と言いかけたところを遮る。
「ごめん。一人で苦労させて、謝って済むことじゃないけど。……自分の家に、由依を近づけたくない気持ちが勝ってしまったんだ」
由依の手を握りしめると、彼女はそれに返してくれた。
「事情があるのは、なんとなく感じました。……いつか子どもの存在が、大智さんの枷になる。それでも……どこか願っていました。また会えたらって、希望の光を灯すように。だから灯希と、付けたんです」
「灯希……。良い名前だ。ありがとう……由依」
彼女を引き寄せ、その温もりを胸に感じると、熱を孕んだ瞳からまた涙が零れ落ちた。
自分たちは、ずっと同じ思いを抱えていた。遠回りをしたのかも知れない。けれど巡り巡って、運命の糸が、もう解けないよう紡がれていく気がした。
「由依。今から、自分のことを全て話すよ。その上で……許されるのなら……」
震えそうになるのを堪えながら一息吐くと、必死で言葉を織り出した。
「この先の人生を……共に歩んで欲しい。僕と新しい家族を、築いて欲しいんだ」
「大智……さん……?」
戸惑いながら自分を呼ぶ由依の手に、そっと自分の手を重ねた。
「僕は、君の願いを叶えていたんだね……」
彼女があの日欲しがった、血の繋がった家族を与えられたのが何よりも嬉しかった。反面、それを言い出せなかったのは自分の所為ではないかと罪の意識が込み上げた。
「怒らないんですか? 勝手なことをして……」
「怒る理由なんてないよ。由依が僕に言えなかったのは……。僕が結婚できないなんて、事情も話さず不誠実なことを言ったからだ」
由依は大きく首を振りながら「そんなっ……」と言いかけたところを遮る。
「ごめん。一人で苦労させて、謝って済むことじゃないけど。……自分の家に、由依を近づけたくない気持ちが勝ってしまったんだ」
由依の手を握りしめると、彼女はそれに返してくれた。
「事情があるのは、なんとなく感じました。……いつか子どもの存在が、大智さんの枷になる。それでも……どこか願っていました。また会えたらって、希望の光を灯すように。だから灯希と、付けたんです」
「灯希……。良い名前だ。ありがとう……由依」
彼女を引き寄せ、その温もりを胸に感じると、熱を孕んだ瞳からまた涙が零れ落ちた。
自分たちは、ずっと同じ思いを抱えていた。遠回りをしたのかも知れない。けれど巡り巡って、運命の糸が、もう解けないよう紡がれていく気がした。
「由依。今から、自分のことを全て話すよ。その上で……許されるのなら……」
震えそうになるのを堪えながら一息吐くと、必死で言葉を織り出した。
「この先の人生を……共に歩んで欲しい。僕と新しい家族を、築いて欲しいんだ」