たゆたう、三角関係
「藤くんどこで降りるの」

私が話を逸らすと、やっと彼は両手を顔から離して窓の外を見た。

「次。だけど金子さんどこで降りんの」
「私は次の次だね」
「一駅か、駅から家までどうすんの」
「歩き」
「歩きか、俺送っていくけど」
「遠いからいいよ」
「一駅だし、明日休みだから平気」

藤遼平はうんうんと頷きながら断言した。
そこまで言われると断る理由もなく、せっかくだし言葉に甘えることにする。

藤遼平といると晴人を思い出して辛いかと思いきや、淡々としている彼のテンポのお陰か心をえぐられるような思いもしなかった。

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