たゆたう、三角関係
20年前に建てた一軒家の私の家の前に着く。私が立ち止まると、藤遼平も一緒に立ち止まった。

リビング、おそらくキッチンのみの灯りがカーテン越しに外に漏れ出している。きっとパパもママも寝たんだ。鍵は植木鉢の下。

「ありがとね」
「うん、橋渡ればすぐ俺ん家着くし」
「そうなんだ」

息が白く上がった。

「寒いよね、ごめんね」
「お酒飲んだから平気、じゃ」

藤遼平はサラリと手を振ると歩き出した。

すごいいい人。
私は一応その姿が見えなくなるまで見届けようとしたけど、彼はすぐに角を曲がってしまった。



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