たゆたう、三角関係
文学
月曜の一コマから授業を取る人は少ない。

梅雨に入ったからか教室の机がベタベタしてるように感じる。

湿気で髪のうねりが酷い。ワックスでは誤魔化しきれなかったセミロングを一つに束ねたものの、前髪はどうしようもない。

昨日夜更かししたせいで目の下のクマはコンシーラーを突き破って浮かび上がってる。

あくびを左手で隠した。

紗里は二コマの方で取ると言ったけど、二コマは英語の講義があったから渋々一人で取った文学。

50人ほど入る教室にまばらに人が座る。

何度もあくびを殺していると、同じようにぼーっとした顔の藤くんが後ろのドアから入ってきて、そのまま後ろの席に座る。

講義は90分間ひたすら先生が話し続けた。誰も聞くでもなく、眠気と闘いながらその退屈な話を聞き流す。

それあなたの感想ですよね。

先生が語り続ける解釈に、ふとそんなことまで感じてしまう。

< 16 / 54 >

この作品をシェア

pagetop