たゆたう、三角関係
2コマ目の英語の授業が終わって学食へ向かうと紗里が悠馬と一緒にいた。さらにその隣に藤くんがいる。悠馬は藤くんの友達で、私たちはよく4人でご飯を食べる。

紗里と悠馬はもうご飯を買ってきてたようで、ビニール袋からそれぞれパンと弁当を出した。藤くんが立ち上がる。

「金子さん、昼は?」
「まだ、何か買ってくる」
「一緒行こ」

彼はサイフとスマホだけを手に、私のところまで来た。私はリュックを席に置く。

学食はお盆を持って端から好きなものをお盆に乗せていくシステムだ。小鉢から始まり、最後はラーメン、そば、うどん、カレー、米と味噌汁、日替わりの何かを選ぶ形となる。これ以外のオシャレなものを選びたいなら外に行け、というおばちゃん達のメッセージが伝わる。

「おばちゃん、メンマもうちょっと増やして」

醤油ラーメンを注文した藤くんはカウンターの向こうで作るおばちゃんに言う。藤くんはかわいい上に愛嬌がいいから、こういうコミュニケーションが上手い。そういえば晴人も高校の時そうだったけど、彼らは食堂のおばちゃんと仲良くなる技術に長けている。

息子みたいで可愛いんだろうな、と思えるほどおばちゃんも嬉しそうにメンマを追加してカウンターに置く。

「ありがと」

藤くんはかわいくお礼を述べた。

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