たゆたう、三角関係
あ〜やんさんがやっと私を見て、「学部どこ?」と聞いてきた。
「経済です」
「あ、俺の後輩」
「多いよね、経済。なんでなんで、経済好きなの」
「バカ、経済好きで経済学部来る学生なんてほとんどいねえよ」
「えー、好きかもしれないじゃん」
あ〜やんさんはさりげなく私の名札を見て「ミコトちゃんは」と続けた。
「ミコトって漢字でどう書くの」
てつじさんが言う。
「実がなる方の実に、楽器の琴です」
「えーかわいー」
あ〜やんさんが無条件に褒めてくれる脇で、てつじさんが膝に漢字をなぞる。
「あたし、あやって言うの、あーやんって呼んでいいからね」
「呼び捨てでいいよ」
「呼び捨てでいいよって私が言うのは分かるけど、てつじさんが言うのは違くありません?」
この二人はすぐに二人で盛り上がるようになっている。
てつじさんは眠そうな目で笑う。
私は視線のやり場に困って、早くこのテーブルに誰か来てくれないかな、と願った。
「経済です」
「あ、俺の後輩」
「多いよね、経済。なんでなんで、経済好きなの」
「バカ、経済好きで経済学部来る学生なんてほとんどいねえよ」
「えー、好きかもしれないじゃん」
あ〜やんさんはさりげなく私の名札を見て「ミコトちゃんは」と続けた。
「ミコトって漢字でどう書くの」
てつじさんが言う。
「実がなる方の実に、楽器の琴です」
「えーかわいー」
あ〜やんさんが無条件に褒めてくれる脇で、てつじさんが膝に漢字をなぞる。
「あたし、あやって言うの、あーやんって呼んでいいからね」
「呼び捨てでいいよ」
「呼び捨てでいいよって私が言うのは分かるけど、てつじさんが言うのは違くありません?」
この二人はすぐに二人で盛り上がるようになっている。
てつじさんは眠そうな目で笑う。
私は視線のやり場に困って、早くこのテーブルに誰か来てくれないかな、と願った。