たゆたう、三角関係
「バンガローかコテージ借りようぜ」
「1棟?」

悠馬が指で「2」を作る。
藤くんはそれを見て少し口を尖らせて考えた後、目を見開いた。

「2って、それって・・・」

悠馬と紗里の顔をそれぞれ見る。

「男男、女女?」
「いや、こうでしょ、それは」

悠馬が手で線を引く。それは悠馬と紗里、藤くんと私に分けられた。

「やらしいこと考えるねー」
「それは藤の方がやらしいこと考えてんじゃない?」
「バンガロー2棟か」

意味深に悠馬と藤くんが笑い合う。

「え、でもさよく二人雑魚寝で寝てるじゃん、飲み会の後」

紗里が指差しながら言ってきた。

「いや、紗里ちゃんさ、友達だったら金子さん守ってあげるべきじゃない?俺みたいなのと一緒に泊まったら何あるか分からんよ」
「えーそんなこと言ったって何もないじゃん、おたくら」

「ねえ?」と悠馬に同意を求めると、彼は顎の髭を指先で撫でながら答えた。

「これで何もなかったらこの二人はこれからも何もないってことだ」
「そんなこと言われたら泊まりにくいでしょ」

藤くんが笑って流しながらチラッと私の方を見た。

「でも藤くんとなら大丈夫かな」

私が答えると、満場一致ということでバンガロー2棟借りが決定した。

藤くんとなら何もないからってわけでもない。
何かがあってもいいかなというのが私の「大丈夫」という言葉の意図だった。
< 31 / 54 >

この作品をシェア

pagetop