たゆたう、三角関係
意外と平気だったのは、新しい環境が楽しみだったからで、今も大学の新しい環境を楽しんでいる。

藤くんの存在はその一つで、私の心は彼に傾いていた。中性的で綺麗で、汚れてないもの。

「今の大学楽しいから大丈夫」

私が笑って答えると、晴人には少し目の奥を覗き込まれた気がした。

「普通に寂しいんだけど、それ」
「何言ってんの」
「実琴が全然知らないとこいっちゃう」
「束縛って言うんだよ、そういうの。もう別れてるのに」

言い方がキツかったのかもしれない。彼のぎこちない笑顔が固まり、そして俯いた。

「こうなるの分かってたんだよな、絶対こうなると思ったんだよ」

彼は両手で頭を抱えるようにゴシャゴシャに髪をかき乱した。そして頼りない笑顔を向ける。

「俺、めっちゃ重いよね、ごめん」

一口コーラを飲んで「ごめん、こんな男で」と言った。

マックの赤と白と黄色の明るい雰囲気から、なぜか私たちだけ取り残されたようだった。
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