たゆたう、三角関係
海
バンガローを2棟借りる予定だった私たちはそれぞれネットで違うコテージを借りた。それぞれというのは、悠馬と紗里、藤くんと私。
一応事前に藤くんから「ここでいい?」とURLが送られてきていた。海の近くの小高い丘にあって相模湾が一望できるコテージだ。素敵な案だと思った。
電車からホームに降り立つとすぐに潮の香りがした。
「すげえ、海の匂いだ」と隣でも藤くんが言った。「着いたね」と合わせる。
私たちは荷物を持ちながら海までの道を歩く。前を悠馬と紗里が、後ろに藤くんと私が続いた。
「日に焼けそう」
「藤くんでも焼けるの?」
「焼けるよ」
藤くんは腕の表面をさする。そんな間にも夏の太陽が痛いほどに皮膚を刺してくる。
海が近いはずなのに、香りはするのに、古い商店街や住宅街がひたすら続くばかりだ。どこに海はあるんだろうと思いながら歩き続けた。
荷物を持ち続ける手が痛くなってきた頃、やっと海沿いの国道に出る。
海だ。
一面に広がる水平線に、私は息を呑む。自然と笑みがこぼれた。
「海だ」
隣で同じことを藤くんも言う。
「すげえ」と小さく呟くその顔は笑顔だった。
一応事前に藤くんから「ここでいい?」とURLが送られてきていた。海の近くの小高い丘にあって相模湾が一望できるコテージだ。素敵な案だと思った。
電車からホームに降り立つとすぐに潮の香りがした。
「すげえ、海の匂いだ」と隣でも藤くんが言った。「着いたね」と合わせる。
私たちは荷物を持ちながら海までの道を歩く。前を悠馬と紗里が、後ろに藤くんと私が続いた。
「日に焼けそう」
「藤くんでも焼けるの?」
「焼けるよ」
藤くんは腕の表面をさする。そんな間にも夏の太陽が痛いほどに皮膚を刺してくる。
海が近いはずなのに、香りはするのに、古い商店街や住宅街がひたすら続くばかりだ。どこに海はあるんだろうと思いながら歩き続けた。
荷物を持ち続ける手が痛くなってきた頃、やっと海沿いの国道に出る。
海だ。
一面に広がる水平線に、私は息を呑む。自然と笑みがこぼれた。
「海だ」
隣で同じことを藤くんも言う。
「すげえ」と小さく呟くその顔は笑顔だった。