たゆたう、三角関係
私たちがパラソルとベッドを組み立ててると、早速海から紗里と悠馬が戻ってきた。

「最高じゃん」
「寝れそう」
「寝ていい?」

一応藤くんや私に許可を取ってきたから、藤くんが「やめろ」とふざけて言ったもののすぐに二人はベッドに寝転んだ。

「あー最悪」

藤くんは笑ってそう言いながら、「金子さん行こ」と言って私の手を引いた。少し砂の付いた手の先。ザラッとしたお互いの感触。

背後から紗里と悠馬に見られてる感覚がくすぐったくて駆け出したかったけど、藤くんがゆったりと歩くから私も歩調を合わせる。

ぬるい海面に足を浸す。波が足の下の砂をさらっていく。

隣で「すごいすごい、変な感じ」と藤くんが笑う。そのリラックスした笑顔が綺麗で、かわいくて、思わず「かわいい」と言ってしまった。

「かわいいって何」
「藤くんを守ってあげたくなる」
「逆でしょ」

波に引き寄せられるように、私たちは海の中へと進んで行った。
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