たゆたう、三角関係
別れ
晴人から「話があるから会いたい」と電話来たのは、8月に入ってからだった。
お盆明けにまた駅前で待ち合わせをする。
胸元にデカデカとブランドのロゴが入ったゆったりとした白いTシャツとデニム姿で彼は現れた。
私が彼の顔を見上げると、「まあいいや、ここで」と彼は私の隣に座った。少しだけ隙間を空けて。
少し鼻で深呼吸する音がして、彼は体を私に向けた。もう一度ひと呼吸置いて、彼は口を開いた。
「もしかしてふじと付き合ってる?」
頑張って笑顔を作ってる。私はその痛々しい顔を見ていられなかった。
「付き合ってないよ」
あの海の後から、藤くんと私は何も接点がなかった。サークルでバーベキューしても、飲み会しても、彼は私を避けるように過ごしていた。
私から歩み寄る勇気もなく、心がギュッとしたまま、もしかしたらもう私たちは近づけないのかもしれないという予感だけが残っていた。
「ふじから、俺に金子さんのこと好きになったって話があって、俺はもう止める権利も何もないから気にしなくていいよって答えたんだけど、でも最後に俺も実琴にちゃんと告白したいから待っててって言ったの」
相変わらず鳩が私たちからおこぼれを貰おうと狙っている。太陽がさんさんと降り注ぐ。
お盆明けにまた駅前で待ち合わせをする。
胸元にデカデカとブランドのロゴが入ったゆったりとした白いTシャツとデニム姿で彼は現れた。
私が彼の顔を見上げると、「まあいいや、ここで」と彼は私の隣に座った。少しだけ隙間を空けて。
少し鼻で深呼吸する音がして、彼は体を私に向けた。もう一度ひと呼吸置いて、彼は口を開いた。
「もしかしてふじと付き合ってる?」
頑張って笑顔を作ってる。私はその痛々しい顔を見ていられなかった。
「付き合ってないよ」
あの海の後から、藤くんと私は何も接点がなかった。サークルでバーベキューしても、飲み会しても、彼は私を避けるように過ごしていた。
私から歩み寄る勇気もなく、心がギュッとしたまま、もしかしたらもう私たちは近づけないのかもしれないという予感だけが残っていた。
「ふじから、俺に金子さんのこと好きになったって話があって、俺はもう止める権利も何もないから気にしなくていいよって答えたんだけど、でも最後に俺も実琴にちゃんと告白したいから待っててって言ったの」
相変わらず鳩が私たちからおこぼれを貰おうと狙っている。太陽がさんさんと降り注ぐ。