たゆたう、三角関係
私は藤遼平を見るたびに可愛らしい人だなと思っていた。
晴人はどっちかと言うとあっさりとして飄々としたタイプだったのに対して、藤遼平は隣で常に笑ってるイメージだ。少し身長が小さいから余計に可愛らしく私の目に映った。

今目の前にいる藤遼平と視線が同じ高さであることに気付いて、改めて身長が170センチないことを確認する。

ほんのりと笑いながら、「ん?」とした顔で私を見た。

「ううん、藤くんとちゃんと話すの初めてだなと思って」
「ああ、そうだよね、たくさん話には聞いていたけど」
「ええ、悪いこと聞いてた?」
「いや」

藤遼平は笑みを浮かべながら首を傾げ、天井の方を見上げる。

「まあ、いろいろと」
「えー、いろいろって何」

私はそう言いつつも、いろいろしてたなといくつかの出来事を思い出してしまった。

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