たゆたう、三角関係
晴人とは高1の秋、文化祭の前に告白されて付き合い始めた。同じクラスでなんとなく仲良くて、夏休み入る前には冷やかされてるような関係だった。

晴人が私のことを好きだろうなあと勘付いてはいたけど、告白された時は普通に嬉しくてそこで初めて晴人のことを好きな自分に気付いた。

お揃いのスニーカーを買って、お揃いのバッグを持って、たくさん制服姿の写真を撮って、毎週末のように会って、隙間があろうもんならば晴人とのことで埋めるような毎日。

こんなに好きな気持ちになるんだって思ったし、それ以上に晴人は好きな気持ちを表現してくれて、幼かった私たちは常に「大好き」という気持ちを共有しながら過ごしていた。

親に内緒で旅行に行って帰ってきてからバレてすごく怒られたし、ディズニーシー行った後帰りたくなくて終電をわざと逃して怒られたし、撮り溜めておいた動画が学校内で流出もしちゃったし、私がクラスの男子と連絡取っていたら大喧嘩に発展もした。

「別れるなんて思ってなかったよ」

藤遼平が口を開いた。

「すごい仲良かったし」と続ける。

「うん、でも別れたらもう全然だよ」
「そうなんだ、俺普通に連絡取ってるけど」

藤遼平はハハッと笑った。

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