新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
車が着いた場所は、高橋さんが入院している病院の駐車場だった。
「仁さん。 私……高橋さんには会えないんです」
出てってくれと言われたのに、理由もなくどんな顔をして高橋さんに会えばいいの? それ以上に、今は高橋さんに会いたくて仕方がないのに会いたくない。 会えば、また何を言われるか分からないから。 また何かを言われることによって、またその言葉が胸に突き刺さるのが怖い。
「別に、会わなくていいよ。 ただ、彼奴に1番近い場所で話したかっただけだから」
どういう意味?
高橋さんに1番近い場所って、まさか……。
「仁さん。 高橋さんの病気って……教えて頂けませんか? 私……高橋さんから……」
「聞いてくれる? いいかな」
言い掛けた言葉を、仁さんが淡々とした口調で遮った。
「今更、本人から聞きたいからとか、そんな綺麗ごとを言っていても埒があかないみたいだし……貴博が何も陽子ちゃんに告げないのは、理由があるからだとは考えられないかな?」
理由?
「俺、前にも陽子ちゃんに言ったよね? どんなことがあっても、何時も貴博の傍に居てやって欲しいって。 それが、いちばんの応えだよ」
「それが応えって……仁さん。 私……よく理解出来ないです」
「彼奴。 明後日、手術だから」
「えっ?」
恐れていたというか、やっぱりというか、聞きたくない2文字を聞いてしまった。
明後日、高橋さんが手術……。
「本当は、最初のスケジュールだと明日手術だったんだけど、スケジュールがちょっと変わって明後日になったんだ。 だから、明日は色々前日だからあるだろうし……もう、今日しかないんだ。 手術して、もしかしたら……」
「手術って、仁さん。 仁さんは、何をご存じなんですか? 高橋さんは、何の病気なんですか? ご存じなんですよね?」
もう、仁さんに縋るしかないと思った。 縋れる人ならば、誰でも良かった。
この不安な気持ちを、何とかして欲しい。
「仁さん。 私……高橋さんには会えないんです」
出てってくれと言われたのに、理由もなくどんな顔をして高橋さんに会えばいいの? それ以上に、今は高橋さんに会いたくて仕方がないのに会いたくない。 会えば、また何を言われるか分からないから。 また何かを言われることによって、またその言葉が胸に突き刺さるのが怖い。
「別に、会わなくていいよ。 ただ、彼奴に1番近い場所で話したかっただけだから」
どういう意味?
高橋さんに1番近い場所って、まさか……。
「仁さん。 高橋さんの病気って……教えて頂けませんか? 私……高橋さんから……」
「聞いてくれる? いいかな」
言い掛けた言葉を、仁さんが淡々とした口調で遮った。
「今更、本人から聞きたいからとか、そんな綺麗ごとを言っていても埒があかないみたいだし……貴博が何も陽子ちゃんに告げないのは、理由があるからだとは考えられないかな?」
理由?
「俺、前にも陽子ちゃんに言ったよね? どんなことがあっても、何時も貴博の傍に居てやって欲しいって。 それが、いちばんの応えだよ」
「それが応えって……仁さん。 私……よく理解出来ないです」
「彼奴。 明後日、手術だから」
「えっ?」
恐れていたというか、やっぱりというか、聞きたくない2文字を聞いてしまった。
明後日、高橋さんが手術……。
「本当は、最初のスケジュールだと明日手術だったんだけど、スケジュールがちょっと変わって明後日になったんだ。 だから、明日は色々前日だからあるだろうし……もう、今日しかないんだ。 手術して、もしかしたら……」
「手術って、仁さん。 仁さんは、何をご存じなんですか? 高橋さんは、何の病気なんですか? ご存じなんですよね?」
もう、仁さんに縋るしかないと思った。 縋れる人ならば、誰でも良かった。
この不安な気持ちを、何とかして欲しい。