新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
「陽子ちゃんが、貴博の傍に居たいと思えるんだったら……ちゃんと悔いのないように話しておいで」
悔いのないようにって、仁さん。 手術して、もしかしたらって……高橋さん。 そんなに重病なの?
想像して考えただけでも、体が震えてきた。
「さあ、行って! 早くしないと、面会時間が終わっちゃう」
仁さんが助手席のドアを開けると、私の腕を掴んだ。
「頼むから……貴博を、もう後悔させないでくれないか?」
「仁さん。 私……」
「いいから。 早く行った、行った」
背中を押され、駐車場から病棟まで歩き出した。
さっき、仁さんが言っていたことを思い出す。
『 手術して、もしかしたら……。 貴博を、もう後悔させないでくれないか? 』
高橋さん……私は……そんなの嫌!
過去も、今も、これから訪れる未来も、私は高橋さんの傍に居たい。 高橋さんにも、後悔して欲しくない。 そう考えたら、駐車場から走り出していた。
面会受付でバッチを受け取り、そのままダッシュでエレベーターに乗って3階で降りた。
廊下を走りたい気持ちを抑え、足早に高橋さんのいる病室まで急ぐ。
ドアの前に立ってノックしようとした右手の拳が震えている。
でも……。
大きく深呼吸して、ギュッと左手で右手にしている時計を掴んでからノックをした。
トントン。
「はい」
高橋さんの声が聞こえた。
震える手でドアを横に引いて病室の中に入ると、後ろで自動的にドアが閉まる音が静かにした。
カーテン越しに、人影が見える。
ゆっくり近づこうとしたが、我慢出来ずに引かれたカーテンの下から潜り抜け、ベッドに座ってパソコン画面を見ていた高橋さんの真横に駆け寄ると、突然現れた私を見て高橋さんは驚いて、一瞬体を後ろに仰け反らせた。
悔いのないようにって、仁さん。 手術して、もしかしたらって……高橋さん。 そんなに重病なの?
想像して考えただけでも、体が震えてきた。
「さあ、行って! 早くしないと、面会時間が終わっちゃう」
仁さんが助手席のドアを開けると、私の腕を掴んだ。
「頼むから……貴博を、もう後悔させないでくれないか?」
「仁さん。 私……」
「いいから。 早く行った、行った」
背中を押され、駐車場から病棟まで歩き出した。
さっき、仁さんが言っていたことを思い出す。
『 手術して、もしかしたら……。 貴博を、もう後悔させないでくれないか? 』
高橋さん……私は……そんなの嫌!
過去も、今も、これから訪れる未来も、私は高橋さんの傍に居たい。 高橋さんにも、後悔して欲しくない。 そう考えたら、駐車場から走り出していた。
面会受付でバッチを受け取り、そのままダッシュでエレベーターに乗って3階で降りた。
廊下を走りたい気持ちを抑え、足早に高橋さんのいる病室まで急ぐ。
ドアの前に立ってノックしようとした右手の拳が震えている。
でも……。
大きく深呼吸して、ギュッと左手で右手にしている時計を掴んでからノックをした。
トントン。
「はい」
高橋さんの声が聞こえた。
震える手でドアを横に引いて病室の中に入ると、後ろで自動的にドアが閉まる音が静かにした。
カーテン越しに、人影が見える。
ゆっくり近づこうとしたが、我慢出来ずに引かれたカーテンの下から潜り抜け、ベッドに座ってパソコン画面を見ていた高橋さんの真横に駆け寄ると、突然現れた私を見て高橋さんは驚いて、一瞬体を後ろに仰け反らせた。