新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
明良さんのプレゼントの話題で盛り上がっているうちに、私のマンションに着いてしまった。
高橋さんに車で待っていてもらっている間に部屋にすっ飛んで帰り、慌ててあれこれ詰め込んだ。 でも、時間がない中でも色々悩んだのだが……。 結局、下着もこれでいいや! みたいな感じになってしまったけれど、一応、念のため高橋さんが何故か2日分のお泊まりしてもいいようにと言われたとおり、そのことは深く考えずに2日分のお泊まりの支度をして車に戻った。
高橋さんの家に着くと、寒かったせいもあって体が冷え切ってしまっていたから、直ぐにお風呂に入ることにした。
高橋さんが入った後にバスルームに向かうと、手前の洗面所に先ほどの話しに出ていた去年のクリスマスに明良さんからのプレゼントのケロチャンのマットが置いてあるのが目に入り、思わず顔がにやけてしまった。
明良さんって、意外と可愛い趣味なのかな?
でも……。
それにしても、プレゼントは何にしよう。
こういうことって、本当に苦手だからなかなか即決出来ない私にとっては難題だ。
きっと、明日買い物に行っても高橋さんは直ぐにすぐ決めちゃいそうだけど、私はそんなに直ぐには決められそうにないなぁ……。
そう考えると今から憂鬱になって、湯船に鼻の真下まで浸かりながら思案に倦ねていた。
お風呂から上がって髪の毛をドライヤーで乾かしてリビングに向かうと、高橋さんが誰かと電話をしていたので、そっと荷物の置いてある場所まで行って着ていた服をしまっていると、電話が終わったみたいだった。
「何か、飲む?」
「あっ……。 いえ、もう歯磨きしちゃったんで」
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