新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
明良さんの説明だと、 肺が真っ白になっていたらしい。 特に左肺が酷いという事だった。
だから咳も止まらなくて、 咳をする度に胸も痛かったのかな?
お医者さんに言われて初めて自覚するなんて……情けない。
そんな私の状態を、 高橋さんは知らぬ間に実家に電話をしてくれていて、 母と姉が夜遅くに来てくれたらしい。 ちょうどその時は眠っていて気づかなかったが、 翌日面会にまた来てくれた母が言うには、 昨夜高橋さんから連絡があって病院に着いたら、 救急入口のところで高橋さんが待っていてくれて 『 自分がついていながら、 申し訳ありません 』 と深々と頭を下げていたと、 目覚めた時に教えてくれた。
高橋さん……。 私がいけないのに。
入院した途端、 点滴やら注射やら慌ただしく色々なものが体内に入ってきて、 一気に栄養が行き渡った感じだったが、 熱は相変わらず下がらなくて主治医の先生の話だと、 肺の白さが消えて熱が下がって安定するまでは退院は難しいと聞かされ、 決算で忙しいこの時期に自分の不注意からこんな事になってしまい、 高橋さんと中原さんに本当に申し訳なくて、 またそれが心苦しくて悔しくて泣けてしまった。
会社には、 ちょこちょこ病室に顔を出してくれる明良さんが、 高橋さんに 『 陽子ちゃんに代わって連絡しておくけど、 それでいい? 』 と聞きにきてくれたので、 ありがたくお言葉に甘えてお願いした。
火曜日。 まゆみが中原さんに聞いたらしく、 驚いてお見舞いに会社の帰りに来てくれた。
「ごめんね……。 心配掛けちゃって」
まゆみの顔を見たら、 また涙が出てしまった。
心身共に、 弱っているせいかな? どうもいつも以上に、 涙腺が緩くなっている気がする。
「何、 言ってるの! そんな事より、 こんなになるまで陽子……」
まゆみの言いたい事は、 直ぐにわかった。
「違うの。 私がいけないのよ。 風邪ひいていた事にも全然気づかないで、 不摂生していたから……」
本当に、 そうなんだから。
「でも、 そうさせたのはハイブリッジなんでしょ? その原因を作ったのは、 アイツなんだから」
「まゆみ……」
少しだけ、 まゆみの声は怒っていた。
「でもね……。 そこまでしても、 好きなものは好きなんだよねぇ……仕方ないか。 好きになっちゃったもんは、 どうする事も出来ないしさ。 それにしても、 ハイブリッジは見舞いに来た?」
黙って、 首を横に振る。
でも、 それは悲観しているわけではなかった。
だから咳も止まらなくて、 咳をする度に胸も痛かったのかな?
お医者さんに言われて初めて自覚するなんて……情けない。
そんな私の状態を、 高橋さんは知らぬ間に実家に電話をしてくれていて、 母と姉が夜遅くに来てくれたらしい。 ちょうどその時は眠っていて気づかなかったが、 翌日面会にまた来てくれた母が言うには、 昨夜高橋さんから連絡があって病院に着いたら、 救急入口のところで高橋さんが待っていてくれて 『 自分がついていながら、 申し訳ありません 』 と深々と頭を下げていたと、 目覚めた時に教えてくれた。
高橋さん……。 私がいけないのに。
入院した途端、 点滴やら注射やら慌ただしく色々なものが体内に入ってきて、 一気に栄養が行き渡った感じだったが、 熱は相変わらず下がらなくて主治医の先生の話だと、 肺の白さが消えて熱が下がって安定するまでは退院は難しいと聞かされ、 決算で忙しいこの時期に自分の不注意からこんな事になってしまい、 高橋さんと中原さんに本当に申し訳なくて、 またそれが心苦しくて悔しくて泣けてしまった。
会社には、 ちょこちょこ病室に顔を出してくれる明良さんが、 高橋さんに 『 陽子ちゃんに代わって連絡しておくけど、 それでいい? 』 と聞きにきてくれたので、 ありがたくお言葉に甘えてお願いした。
火曜日。 まゆみが中原さんに聞いたらしく、 驚いてお見舞いに会社の帰りに来てくれた。
「ごめんね……。 心配掛けちゃって」
まゆみの顔を見たら、 また涙が出てしまった。
心身共に、 弱っているせいかな? どうもいつも以上に、 涙腺が緩くなっている気がする。
「何、 言ってるの! そんな事より、 こんなになるまで陽子……」
まゆみの言いたい事は、 直ぐにわかった。
「違うの。 私がいけないのよ。 風邪ひいていた事にも全然気づかないで、 不摂生していたから……」
本当に、 そうなんだから。
「でも、 そうさせたのはハイブリッジなんでしょ? その原因を作ったのは、 アイツなんだから」
「まゆみ……」
少しだけ、 まゆみの声は怒っていた。
「でもね……。 そこまでしても、 好きなものは好きなんだよねぇ……仕方ないか。 好きになっちゃったもんは、 どうする事も出来ないしさ。 それにしても、 ハイブリッジは見舞いに来た?」
黙って、 首を横に振る。
でも、 それは悲観しているわけではなかった。