新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
「あっ。 そう言えば、 明良さん。 高橋さんに、 私の事を話しませんでした?」
「えっ? 何を? 会社を休む件以外は、 言ってないよ。 何で? 貴博来たの?」
「だって……昨日、 高橋さんが外出の帰りに寄って下さって、 その時明良さんに私の食欲がないって聞いたって……」
明良さんが言ってたって、 高橋さんは確かにそう言った。
「いくら俺でも、 言わない……と思う……けど……言ったか? いや、 食欲がないって事は言ってないよ。 多分、 言ってない。 きっと、 それ……貴博にカマ掛けられたんじゃないの?」
「カマ掛けられた?」
「そう。 貴博、 そういうところ敏感だから。 きっと、 陽子ちゃんを見て感じたんじゃない?」
トントン。
看護師さんが点滴を取り替えに来たので、 明良さんがベッドのそばから後ろに下がった。
「取り換えますからね」
そう言って、 看護師さんが会釈をしながら明良さんの前を横切った。
「それじゃ、 また来るね。 今晩当直だから、 ずっと病院にいるし……と言っても、 陽子ちゃんには関係ないか。 貴博じゃないもんな」
うっ。
やっぱり何気なく高橋さんの名前を聞いても、 ドキドキしてしまう。
「明良さん。 からかわないで下さいって」
「ハハッ……じゃねぇ……って、 そうだ!」
看護師さんは点滴を交換するとそのまま出て行ったので、 一緒に明良さんも行きかけたが、 立ち止まってこちらを振り返った。
「貴博の事、 もう少し待ってやって。 きっと今、 色々悩んで考えていると思うから」
「明良さん……」
いきなりそんな事を言い出した明良さんに、 驚いて目を見張ってしまった。
「彼奴……今回の事で、 凄く堪えているみたいだし」
「今回の事?」
ミサさんの子供の事?
それとも……。
「えっ? 何を? 会社を休む件以外は、 言ってないよ。 何で? 貴博来たの?」
「だって……昨日、 高橋さんが外出の帰りに寄って下さって、 その時明良さんに私の食欲がないって聞いたって……」
明良さんが言ってたって、 高橋さんは確かにそう言った。
「いくら俺でも、 言わない……と思う……けど……言ったか? いや、 食欲がないって事は言ってないよ。 多分、 言ってない。 きっと、 それ……貴博にカマ掛けられたんじゃないの?」
「カマ掛けられた?」
「そう。 貴博、 そういうところ敏感だから。 きっと、 陽子ちゃんを見て感じたんじゃない?」
トントン。
看護師さんが点滴を取り替えに来たので、 明良さんがベッドのそばから後ろに下がった。
「取り換えますからね」
そう言って、 看護師さんが会釈をしながら明良さんの前を横切った。
「それじゃ、 また来るね。 今晩当直だから、 ずっと病院にいるし……と言っても、 陽子ちゃんには関係ないか。 貴博じゃないもんな」
うっ。
やっぱり何気なく高橋さんの名前を聞いても、 ドキドキしてしまう。
「明良さん。 からかわないで下さいって」
「ハハッ……じゃねぇ……って、 そうだ!」
看護師さんは点滴を交換するとそのまま出て行ったので、 一緒に明良さんも行きかけたが、 立ち止まってこちらを振り返った。
「貴博の事、 もう少し待ってやって。 きっと今、 色々悩んで考えていると思うから」
「明良さん……」
いきなりそんな事を言い出した明良さんに、 驚いて目を見張ってしまった。
「彼奴……今回の事で、 凄く堪えているみたいだし」
「今回の事?」
ミサさんの子供の事?
それとも……。