新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
「陽子ちゃんが倒れて入院したって事。 貴博、 相当ショックだったみたいだから」
「そんな……」
そう言い残して、 明良さんは病室から出て行った。
ショックだった?
相当悩んでいるって……高橋さん。
トントン。
エッ……。
「は、 はい」
あまりのタイミングのよさに、 一瞬高橋さんかとも思ったが、 ドアの向こうにはまゆみが立っていた。
「どぉ? 少しは、 元気そうになったかな?」
「元気そうって、 まゆみ」
「アッハッハ……」
それから明良さんの言った言葉もしばし忘れて、 会社の事などをまゆみが話してくれたので、 病室での退屈だった私にはそれがとても刺激的で、 凄く嬉しかった。
「人事異動があってさ。 今度、 総務に営業から1人来るのよぉ……。 それも、 また男子でね」
「そうなの?」
そうか……もう、 そんな時期だったんだ。
経理は、 どうなっているんだろう?
「まゆみ。 経理は、 どうなったか知らない?」
「よくぞ! 聞いてくれました」
まゆみは得意げになって、 胸を張った。 何といっても、 まゆみの情報網は本当に凄いから。
「経理は、 新入社員だけみたいだよ」
良かった。
それを聞いて、 思わず胸を撫で下ろした。
「会計もないって?」
そこが、 いちばん気がかりだったりする。 でも、 それが間違いの元だったのかもしれない。
「多分……多分ないと思うよ」
「多分? じゃ、 じゃあ、 あるかもしれないの? ゴホッゴホッ……ゴホッ……ゴホッ」
思わず大きな声を出して、 咳き込んでしまった。
「陽子。 大丈夫?」
黙って頷いたが、 なかなか咳が止まらなかった。
「そんな……」
そう言い残して、 明良さんは病室から出て行った。
ショックだった?
相当悩んでいるって……高橋さん。
トントン。
エッ……。
「は、 はい」
あまりのタイミングのよさに、 一瞬高橋さんかとも思ったが、 ドアの向こうにはまゆみが立っていた。
「どぉ? 少しは、 元気そうになったかな?」
「元気そうって、 まゆみ」
「アッハッハ……」
それから明良さんの言った言葉もしばし忘れて、 会社の事などをまゆみが話してくれたので、 病室での退屈だった私にはそれがとても刺激的で、 凄く嬉しかった。
「人事異動があってさ。 今度、 総務に営業から1人来るのよぉ……。 それも、 また男子でね」
「そうなの?」
そうか……もう、 そんな時期だったんだ。
経理は、 どうなっているんだろう?
「まゆみ。 経理は、 どうなったか知らない?」
「よくぞ! 聞いてくれました」
まゆみは得意げになって、 胸を張った。 何といっても、 まゆみの情報網は本当に凄いから。
「経理は、 新入社員だけみたいだよ」
良かった。
それを聞いて、 思わず胸を撫で下ろした。
「会計もないって?」
そこが、 いちばん気がかりだったりする。 でも、 それが間違いの元だったのかもしれない。
「多分……多分ないと思うよ」
「多分? じゃ、 じゃあ、 あるかもしれないの? ゴホッゴホッ……ゴホッ……ゴホッ」
思わず大きな声を出して、 咳き込んでしまった。
「陽子。 大丈夫?」
黙って頷いたが、 なかなか咳が止まらなかった。