新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
やっぱり駄目……そういうの、私は無理。 親友にも秘密主義とか、ちょっと……。 
そんなに私とのことを、知られたくないのかな。
何か、もう今日はゆっくり静かに眠りたい。
「ごめんなさい。 何だか疲れちゃったみたいなんで、もう寝ますね。 あの、ゲストルームをお借りしてもいいですか?」
敢えて高橋さんに断ったが、自分の中ではもうゲストルームで寝かせてもらおうと決めていたので、そう言いながら後ずさりをして少しずつ遠ざかっていた。
すると、ソファーの軋む音がして高橋さんが立ち上がって、あっという間に少しだけ離れた距離を縮めてしまうぐらいにこちらに近づいてきた。
「いいわけないだろ?」
うっ。
「こんなに目に涙を溜めてるお前を、1人に出来るわけがない」
高橋さん。
「な、泣いてなんて……」
そう言った途端、瞬きをした瞳からポロッと涙が1粒溢れた。
ああ……。
高橋さんの着ていた服の衣擦れる音がして、少しだけ前屈みになって瞳から溢れ落ちた涙を拭ってくれた。
「ほら、こっち」
そう言うと、高橋さんが私の手首を引っ張った。
「ちょ、ちょっと、高橋さん。 本当に、離して下さい。 私、今日はゲストルームで……」
拒んでいるものの、あまり逆らう気力もない私の声は小さかった。
本当に、疲れているのかもしれないと錯覚してしまいそうなほどに。
「疲れているんだろ? だったら、寝ながらいつものお話とやらをしてやるから」
「えっ?」
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