新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
そこまで話してくれた高橋さんが、何故か微かに笑った。
仁さんにレギュラーを取られてしまったことを思い出して、高橋さんは照れ笑いをしたのかな。
「でも、何故か仁はレギュラーになるのを断ったんだよ。センターは、高橋に譲るからって監督に言って」
「エッ?」
「ほら、また」
「すみません」
咄嗟に、高橋さんの顔を見上げてしまったので、思いっきり暗闇の中で睨まれてしまった。
でも、何故?
せっかく勝ち取ったレギュラーなのに……。
「自分は、センターよりガードの方が向いてるから、そっちにまわってそこでもう1度レギュラーになりないからと、監督に直談判しているのを聞いていて仁の意図することが分かったんだ。 本当は、俺に怪我をさせたのは自分のせいだと仁は思っていて、それで負い目を感じていたんじゃないかって……。 その時、俺にはそう思えたんだ。 それまで散々センターのポジションを争ってきていたのに、いきなりセンターからガードに変更を希望することは、通常は有り得ないから。 まあ、仁はその頃人が足りないとよくガードとかもこなしてはいたんだけど」
うわぁ。
仁さん、格好いい。
きっと仁さんって、昔からあんな感じだったのかな?
一見、物静かでとっつきにくそうな感じだけれど、話してみると気さくで優しいタイプだし。
「それで、俺は何だかプライドを傷つけられたような気がして、同情や哀れみで余計なことをするなと言ったんだ」
そんな……。
「フッ……若かったからな。 それでも仁は聞かなくて、結果的に俺がそのままセンターに復帰して、仁は新たにガードのレギュラー獲得のために日々頑張っていた。 だから部活の練習が終わった後も、仁は1人で残って練習していたから、自然と俺もそれに付き合うようになって……。 そのうち気心が知れてきて、2年の春に仁が念願のレギュラーになれた時は、本当に俺も嬉しかったし、もうその頃には蟠りもなくなって、あ、うんの呼吸で分かり合える仲にまでなってた」
仁さんにレギュラーを取られてしまったことを思い出して、高橋さんは照れ笑いをしたのかな。
「でも、何故か仁はレギュラーになるのを断ったんだよ。センターは、高橋に譲るからって監督に言って」
「エッ?」
「ほら、また」
「すみません」
咄嗟に、高橋さんの顔を見上げてしまったので、思いっきり暗闇の中で睨まれてしまった。
でも、何故?
せっかく勝ち取ったレギュラーなのに……。
「自分は、センターよりガードの方が向いてるから、そっちにまわってそこでもう1度レギュラーになりないからと、監督に直談判しているのを聞いていて仁の意図することが分かったんだ。 本当は、俺に怪我をさせたのは自分のせいだと仁は思っていて、それで負い目を感じていたんじゃないかって……。 その時、俺にはそう思えたんだ。 それまで散々センターのポジションを争ってきていたのに、いきなりセンターからガードに変更を希望することは、通常は有り得ないから。 まあ、仁はその頃人が足りないとよくガードとかもこなしてはいたんだけど」
うわぁ。
仁さん、格好いい。
きっと仁さんって、昔からあんな感じだったのかな?
一見、物静かでとっつきにくそうな感じだけれど、話してみると気さくで優しいタイプだし。
「それで、俺は何だかプライドを傷つけられたような気がして、同情や哀れみで余計なことをするなと言ったんだ」
そんな……。
「フッ……若かったからな。 それでも仁は聞かなくて、結果的に俺がそのままセンターに復帰して、仁は新たにガードのレギュラー獲得のために日々頑張っていた。 だから部活の練習が終わった後も、仁は1人で残って練習していたから、自然と俺もそれに付き合うようになって……。 そのうち気心が知れてきて、2年の春に仁が念願のレギュラーになれた時は、本当に俺も嬉しかったし、もうその頃には蟠りもなくなって、あ、うんの呼吸で分かり合える仲にまでなってた」