新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
だから、人前で堂々とキスが出来たりするのも、そういう環境が自然とさせているのかもしれない。
公の場で、ワーストドレッサー賞等も平気で選んで公表してしまったりもする行為は、日本人の私からみると、そんな賞を堂々と公表して大丈夫なんだろうかと心配にもなるが、どんな場合でも個人の自由は尊重されているように感じられた。
それに慣れてしまっていて、気づかなかった。 別に日本人が悪いとか、そういった次元の話ではないけれど、平気で当人に聞こえるように言うのはやはり気分の良いものではない。
まだ続いている隣の席の人達の私に対する会話と視線が酷く痛く感じて、喉の奥もそれ以上に苦しく痛かった。
結局、あまり食事も喉を通らなくて、殆ど高橋さんに食べて貰ったが、そんな私に高橋さんは、 「明良の料理は、ちゃんと食えよ」 とだけ言ってくれたので、内心とても助かった。
食べ終わって直ぐにお店を出ると、午前中より尚一層人の波が増えたような気がした。
駐車場まで少し距離があったが、前を歩く高橋さんを見失わないよう後に続く。
「凄い人だなぁ」
やっと、駐車場への通路に差し掛かった時、高橋さんがそう言った。
「何だか、人が湧き出てくる感じですよね」
「ハハッ……。 お前、本当に面白い奴だな」
「そ、そうですか?」
高橋さんが微笑みながら言ったので、つられて微笑んだ。
「あの人、いい男」
「隣にいる女、邪魔! 何? あれ」
擦れ違いざま、そんな声が聞こえてきた。
気にしないようにしよう……。
でも、歩きながら気づいた。
会社でも同じように、高橋さんはやっぱりこういう人混みの中でもオーラが出ているのか、盛んに視線を浴びている。
そして、決まって次に向けられる私への侮蔑と猜疑の視線。 嘲笑しているような表情。
聞こえなくても、こちらを見ながら言っているので、恐らくその類の会話なのだろう。
同じような表情で、こちらを見る視線。 擦れ違う人とその痛い視線と合う度に、屈辱感を味わい、劣等感が増していく。
また、前から3人の女性がこちらに向かって歩いてくるのが見える。 体中をその負の鎖が支配して、その場に立ち止まってしまった。
公の場で、ワーストドレッサー賞等も平気で選んで公表してしまったりもする行為は、日本人の私からみると、そんな賞を堂々と公表して大丈夫なんだろうかと心配にもなるが、どんな場合でも個人の自由は尊重されているように感じられた。
それに慣れてしまっていて、気づかなかった。 別に日本人が悪いとか、そういった次元の話ではないけれど、平気で当人に聞こえるように言うのはやはり気分の良いものではない。
まだ続いている隣の席の人達の私に対する会話と視線が酷く痛く感じて、喉の奥もそれ以上に苦しく痛かった。
結局、あまり食事も喉を通らなくて、殆ど高橋さんに食べて貰ったが、そんな私に高橋さんは、 「明良の料理は、ちゃんと食えよ」 とだけ言ってくれたので、内心とても助かった。
食べ終わって直ぐにお店を出ると、午前中より尚一層人の波が増えたような気がした。
駐車場まで少し距離があったが、前を歩く高橋さんを見失わないよう後に続く。
「凄い人だなぁ」
やっと、駐車場への通路に差し掛かった時、高橋さんがそう言った。
「何だか、人が湧き出てくる感じですよね」
「ハハッ……。 お前、本当に面白い奴だな」
「そ、そうですか?」
高橋さんが微笑みながら言ったので、つられて微笑んだ。
「あの人、いい男」
「隣にいる女、邪魔! 何? あれ」
擦れ違いざま、そんな声が聞こえてきた。
気にしないようにしよう……。
でも、歩きながら気づいた。
会社でも同じように、高橋さんはやっぱりこういう人混みの中でもオーラが出ているのか、盛んに視線を浴びている。
そして、決まって次に向けられる私への侮蔑と猜疑の視線。 嘲笑しているような表情。
聞こえなくても、こちらを見ながら言っているので、恐らくその類の会話なのだろう。
同じような表情で、こちらを見る視線。 擦れ違う人とその痛い視線と合う度に、屈辱感を味わい、劣等感が増していく。
また、前から3人の女性がこちらに向かって歩いてくるのが見える。 体中をその負の鎖が支配して、その場に立ち止まってしまった。