新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜

「やっと、これで大人しく寝そうだな」
高橋さん……。
笑いながら、高橋さんが私の頭を撫でると、ベッドから起き上がって布団を掛けてくれた。
「みんなが起きたら、起こしてやるから。　それまで、おやすみ。　いい子に」
チュッ。
高橋さんは、ドアの鍵を開けて出ていってしまった。
おでこに、キス……。
先ほどまでのあれは、何だったの？
また、からかわれただけ？
あんな状況でも、全身の力が抜けて身を任せてしまったというのに……。
高橋さんは、まったくといっていいほど普通だった。
経験の差？
仁さんの話を聞いたあとだっただけに、深く考えすぎていたことを後悔した。
何よ！
単に、エロいだけじゃない。
それに、まんまと引っ掛かって情けない。
でも、ちょっと嬉しかったりもする。　何とも複雑な思いに反して、心地良かった……とも。
忙しく揺れ動く気持ちと、まだ夢見心地な体が高橋さんの温もりにドキドキする思いを抑えているうちに、いつの間にか眠ってしまっていた。