新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
「じゃあ、すみません。 お先します」
エッ……。
もう、そんな時間?
必死に書類の山と向き合っていたが、やっと少し終わったと思うと、また直ぐに新しい書類が来てしまう。 その繰り返しで、中原さんの声に気づいて時計を見ると、すでに19時近くになっていた。
「おお、お疲れ」
「お疲れ様でした」
そうだった。
今日は金曜日だから、中原さんはデートの日。
だから仕事が終われば、早めに帰る日だった。
そんな中原さんに高橋さんは、自分の仕事が終われば特に何もなければ遠慮なく帰っていいぞと、いつも言っている。
遅くまで残っていること=仕事が出来る
というのは、間違った感覚だと高橋さんは説いている。
「まだ、掛かりそうか?」
「あっ……いえ、あと少しなので終わらせてから帰ります。 高橋さん。 もし何でしたら、先に帰って頂いても大丈夫ですよ」
本当にあと少しだったので、出来ることなら綺麗に終わらせて帰りたかった。
「そうか。 あと、少しなんだろ? だったら、別に構わない。 俺も、まだやることがあるし」
「そ、そうですか」
せっかく頑張って言ったのに、軽くあしらわれてしまった。
そして、ようやく書類が綺麗に片付いたので、帰り支度を始めた。
ふと見ると、高橋さんが難しい顔をしながらパソコンと睨めっこをしている。
考えごとでもしているのかな?
そんな時に、あまり話し掛けてはいけないと思い、そっと帰り支度を済ませて席を立った。
「お先に、失礼します」
「お疲れ様」
仕事の邪魔をしてはいけないから、目を合わさずにそれだけ告げてお辞儀をすると、静かにその場を後にした。
タイムレコーダーにIDパスをあてて読み込ませ、エレベーターホールでエレベーターを待っていたが、何気なく事務所の方を見ると、もう誰もいないせいか静まり返っている。
独りで高橋さんは、怖くないのかな。
エッ……。
もう、そんな時間?
必死に書類の山と向き合っていたが、やっと少し終わったと思うと、また直ぐに新しい書類が来てしまう。 その繰り返しで、中原さんの声に気づいて時計を見ると、すでに19時近くになっていた。
「おお、お疲れ」
「お疲れ様でした」
そうだった。
今日は金曜日だから、中原さんはデートの日。
だから仕事が終われば、早めに帰る日だった。
そんな中原さんに高橋さんは、自分の仕事が終われば特に何もなければ遠慮なく帰っていいぞと、いつも言っている。
遅くまで残っていること=仕事が出来る
というのは、間違った感覚だと高橋さんは説いている。
「まだ、掛かりそうか?」
「あっ……いえ、あと少しなので終わらせてから帰ります。 高橋さん。 もし何でしたら、先に帰って頂いても大丈夫ですよ」
本当にあと少しだったので、出来ることなら綺麗に終わらせて帰りたかった。
「そうか。 あと、少しなんだろ? だったら、別に構わない。 俺も、まだやることがあるし」
「そ、そうですか」
せっかく頑張って言ったのに、軽くあしらわれてしまった。
そして、ようやく書類が綺麗に片付いたので、帰り支度を始めた。
ふと見ると、高橋さんが難しい顔をしながらパソコンと睨めっこをしている。
考えごとでもしているのかな?
そんな時に、あまり話し掛けてはいけないと思い、そっと帰り支度を済ませて席を立った。
「お先に、失礼します」
「お疲れ様」
仕事の邪魔をしてはいけないから、目を合わさずにそれだけ告げてお辞儀をすると、静かにその場を後にした。
タイムレコーダーにIDパスをあてて読み込ませ、エレベーターホールでエレベーターを待っていたが、何気なく事務所の方を見ると、もう誰もいないせいか静まり返っている。
独りで高橋さんは、怖くないのかな。