新そよ風に乗って 〜慕情 vol.1〜
そして、翌朝出社すると、いつもの高橋さんに戻っていたのでホッとした。
10日締めの作業に追われていた午後は、やはり電話の本数も多くて、途中で電卓を叩く作業が中断されることもあり、なかなか捗らない。
「はい。 会見監査、矢島です……はい。いらっしゃいます。 少々、お待ち下さいませ」
電話は殆ど高橋さん宛が多く、高橋さんが席に居る時を狙って掛けてくる人も多い。
私が電話中で中原さんも電話中だと、高橋さんも電話を取ってくれるのだが、高橋さんへの取りつぎが多いので、中原さんと私が電話中の時は、高橋さんが次に掛かってきた電話に出る前に、取りつがなければいけない。
「高橋さん。 1番に、営業3課からお電話です」
「……」
エッ……。
高橋さん?
どうしたんだろう。
高橋さんに電話を取りつごうとして呼びかけたが、何時もなら直ぐにこちらを見て返事をしてくれるのに、何故か反応がない。
見た所、他の電話に出ている形跡もないし……。
聞こえなかったのかな?
「高橋さん」
もう1度名前を呼ぶと直ぐにこちらを見たので、やっぱり聞こえてなかったのかもしれない。
「1番に、営業3課からお電話です」
「ありがとう。 お電話、代わりました。 高橋です……そうですね。 仮払いの請求書の合計欄は、訂正がきかないですから」
その時は、気にも留めずに電卓をまた叩き直し始めていた。
夕方近くになって締めも終わり、集計作業に取り掛かって計算が違っているところを各部署に連絡している時、受話器を取ったらたまたま電話の音も鳴らないまま、掛かってきた電話を取ってしまったようだった。
「あっ……えっ? は、はい。 会見監査です……あっ……は、はい。 少々、お待ち下さいませ」
うわぁ。
びっくりした!
社長室秘書の人からだ。
「高橋さん。 社長室から、お電話です」
「……」
エッ……。
また……だ。
さっきも、そうだった。
高橋さんに呼び掛けても、反応がなくて……。
10日締めの作業に追われていた午後は、やはり電話の本数も多くて、途中で電卓を叩く作業が中断されることもあり、なかなか捗らない。
「はい。 会見監査、矢島です……はい。いらっしゃいます。 少々、お待ち下さいませ」
電話は殆ど高橋さん宛が多く、高橋さんが席に居る時を狙って掛けてくる人も多い。
私が電話中で中原さんも電話中だと、高橋さんも電話を取ってくれるのだが、高橋さんへの取りつぎが多いので、中原さんと私が電話中の時は、高橋さんが次に掛かってきた電話に出る前に、取りつがなければいけない。
「高橋さん。 1番に、営業3課からお電話です」
「……」
エッ……。
高橋さん?
どうしたんだろう。
高橋さんに電話を取りつごうとして呼びかけたが、何時もなら直ぐにこちらを見て返事をしてくれるのに、何故か反応がない。
見た所、他の電話に出ている形跡もないし……。
聞こえなかったのかな?
「高橋さん」
もう1度名前を呼ぶと直ぐにこちらを見たので、やっぱり聞こえてなかったのかもしれない。
「1番に、営業3課からお電話です」
「ありがとう。 お電話、代わりました。 高橋です……そうですね。 仮払いの請求書の合計欄は、訂正がきかないですから」
その時は、気にも留めずに電卓をまた叩き直し始めていた。
夕方近くになって締めも終わり、集計作業に取り掛かって計算が違っているところを各部署に連絡している時、受話器を取ったらたまたま電話の音も鳴らないまま、掛かってきた電話を取ってしまったようだった。
「あっ……えっ? は、はい。 会見監査です……あっ……は、はい。 少々、お待ち下さいませ」
うわぁ。
びっくりした!
社長室秘書の人からだ。
「高橋さん。 社長室から、お電話です」
「……」
エッ……。
また……だ。
さっきも、そうだった。
高橋さんに呼び掛けても、反応がなくて……。