五年の想いを抱えて

【0】

大学の帰り、乗り換えの駅で改札に向かって歩く途中。

少し前に中学からの友達を見つけて俺は小走りに近づこうとした。

突然彼女が立ち止まる。

そのまま振り返った視線の先にいたのは、俺らの母校の制服をまとった男子高校生。

彼は彼女に気づいていないようだった。

こっちに向かってくる彼の顔には見覚えがある。

俺の脳内に現れた彼の名前と彼女が呼んだ声が重なった。

「晴葵」
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