五年の想いを抱えて
だが2メートルほど進んだところで突然止まって振り向いた。

「今度こそ離れんじゃねーよ」

私は慎也の優しさに微笑みがこぼれる。

「晴葵」

「はい」

「次泣かしたらほんとに許さないからな。次は遠慮なくもらうよ」

「その日が来ないように頑張るよ」

「うん、じゃあな。玲、また大学で」

「うん」

慎也は駅の雑踏に入っていった。

「ってか、玲、慎也と同じ大学なの?」

「そうだよ、学部違うけど」
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