五年の想いを抱えて
私の表情を見て隣に立つ晴葵は勘づいたようだ。

「あの、もしかしてこの前の電話の人?」

先輩も晴葵に気が付いたようだった。

「あのさ、俺、玲ちゃんに話あるから、ちょっと借りてもいい?」

私は嫌な予感がした。

不安を浮かべた目で晴葵を見つめる。

晴葵は私を見た後、先輩に向き合った。

「いいっすよ、けど、そんなに時間ないんで手短でお願いします」

「おう」

晴葵が了承したことが不思議だった。
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