五年の想いを抱えて
私はあわててカバンから鏡を取り出そうとする。

その時晴葵の指が私の鼻に触れた。

「なんでこんなとこにつくんだか」

「あ、りがとう」

さっきのと相まって私の顔は火が出そうなほど熱くなっている。

「あれ、慎也と美波じゃん」

その声につられて顔を上げた先にはこっちに向かっている美波と慎也が手を振っていた。

「美波、結局先輩と来れなかったんだ」

「そう。だから今年も慎也で我慢」
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