五年の想いを抱えて
「帰ろっか」

私たちは学校を出た。

昇降口を出た瞬間、冷たい風が首筋を掠めてマフラーを引き上げる。

ふいに温かい手につかまれた私の手がカイロに触れた。

晴葵を見る私の目はっポケットのカイロよりきっと温かい。

「あと一週間だねえ」

「そうだね」

街は一週間後のクリスマスに一足先に染まっている。

光るサンタクロースやトナカイをみて微笑みがこぼれる。

「じゃあ、また連絡するから」

「うん、じゃあね」
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