五年の想いを抱えて
10分前に駅前に着いたときにはもう晴葵はついていて、大学生っぽい女の人たちに囲まれていた。

遠くからその光景を眺める。

「おまたせ!」

意を決して発した私の声は予想以上に響いてしまった。

女の人たちが私のほうを振り向く。

その奥の晴葵と目が合って笑顔を向けられた。

とてつもなく恥ずかしかったが頑張って晴葵のほうに近づく。

「行こっか」

晴葵に腕を取られ進む。

視界の隅にさっきの女の人たちが見えたが、もう気にしていなかった。
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