13番目の呪われ姫は今日も元気に生きている
「すっごいネコの数ですね」
部屋を埋め尽くす金色の目をした黒猫を見ながら伯爵家は感想を述べる。
「使い魔ちゃん達です。他にも認識阻害の魔法とか、色々できます」
お手製のよもぎ茶を差し出してベロニカはネタバラシをするように魔法の存在を明かす。
「あと、ものすっごく気になるんで聞いていいですか? その手に持ってるやたら作り込んであるボードは何ですか?」
伯爵はベロニカが手に持っているお手製のボードを指さす。
ものすごく細かく細工の施されたボードには"ステータス"と中央に大きく書かれ、ベロニカの自己申告による彼女のステータスが書き込まれていた。
『NEW!→闇属性魔法 職業:呪われた魔女姫』
も気になるが、
「持ち物:伯爵ってなんですか。俺、いつの間に姫の所持品になってんの?」
知らない間に所持品扱いになっており、伯爵は突っ込まずにはいられない。
「私の専属暗殺者なので!」
いつかこんな日が来た時のために作っときました! とベロニカはドヤ顔で伯爵に見せる。
このためだけによく作ったなコレと呆れつつも感心しながらボードを眺める伯爵を見つめ、
「……怖くなりました? 私のこと」
とベロニカは金色の目を伏せて小さく聞いた。
ベロニカは今まで呪われ姫と後ろ指をさされ、死ぬ事を望まれ、ずっとバケモノのように扱われてきた。
もし、伯爵にまでそんな風に思われたらと思うと怖くて、魔法が使えるだなんて言い出すことができなかった。
「いや、別に。特に俺に害ないし。解呪の可能性探る上で、呪いの特性を正確に把握しときたかっただけ」
伯爵はベロニカが魔法を使えるなんて大した事ではないとばかりに彼女の黒猫を抱き上げて、
「これ生物じゃないから、ネコアレルギーでも飼えるんじゃ……1匹欲しいな」
と羨ましそうにそう言った。
「ふふ、本当に伯爵は変わってますね」
ほっとしたようにそういって笑ったベロニカは伯爵の隣に座って、
「私のことお嫁さんにしてくれたら、この猫ちゃんたちもれなく全員ついてきますよ?」
とドヤ顔でアピールする。
「いいな、それ。ちょっとやる気出てきた」
そんなベロニカの言葉を聞いて伯爵は黒曜石ような目を細めて笑う。
いつも無愛想な顔をしているのに表情を崩して猫を愛で続ける伯爵にむぅっと頬を膨らませたベロニカは、
「猫ちゃんじゃなくて私の事一番に構ってくれないと嫌です」
と伯爵に体当たりする。
「ちょっ、何張り合ってるんですか!?」
「にゃあー」
ソファーに座る伯爵の隣に勢いよく座ったベロニカは猫のような金色の瞳を向けて、
「にゃあーにゃあ、にゃあ、にゃあ、にゃあ」
と何度も猫の鳴き真似を繰り返す。
「えーと、ベロニカ様?」
「……伯爵が構ってくれないなら猫ちゃんもう見せないにゃあ」
ベロニカは猫ちゃんばっかり撫でられてずるいと拗ねた口調でそう言った。
部屋を埋め尽くす金色の目をした黒猫を見ながら伯爵家は感想を述べる。
「使い魔ちゃん達です。他にも認識阻害の魔法とか、色々できます」
お手製のよもぎ茶を差し出してベロニカはネタバラシをするように魔法の存在を明かす。
「あと、ものすっごく気になるんで聞いていいですか? その手に持ってるやたら作り込んであるボードは何ですか?」
伯爵はベロニカが手に持っているお手製のボードを指さす。
ものすごく細かく細工の施されたボードには"ステータス"と中央に大きく書かれ、ベロニカの自己申告による彼女のステータスが書き込まれていた。
『NEW!→闇属性魔法 職業:呪われた魔女姫』
も気になるが、
「持ち物:伯爵ってなんですか。俺、いつの間に姫の所持品になってんの?」
知らない間に所持品扱いになっており、伯爵は突っ込まずにはいられない。
「私の専属暗殺者なので!」
いつかこんな日が来た時のために作っときました! とベロニカはドヤ顔で伯爵に見せる。
このためだけによく作ったなコレと呆れつつも感心しながらボードを眺める伯爵を見つめ、
「……怖くなりました? 私のこと」
とベロニカは金色の目を伏せて小さく聞いた。
ベロニカは今まで呪われ姫と後ろ指をさされ、死ぬ事を望まれ、ずっとバケモノのように扱われてきた。
もし、伯爵にまでそんな風に思われたらと思うと怖くて、魔法が使えるだなんて言い出すことができなかった。
「いや、別に。特に俺に害ないし。解呪の可能性探る上で、呪いの特性を正確に把握しときたかっただけ」
伯爵はベロニカが魔法を使えるなんて大した事ではないとばかりに彼女の黒猫を抱き上げて、
「これ生物じゃないから、ネコアレルギーでも飼えるんじゃ……1匹欲しいな」
と羨ましそうにそう言った。
「ふふ、本当に伯爵は変わってますね」
ほっとしたようにそういって笑ったベロニカは伯爵の隣に座って、
「私のことお嫁さんにしてくれたら、この猫ちゃんたちもれなく全員ついてきますよ?」
とドヤ顔でアピールする。
「いいな、それ。ちょっとやる気出てきた」
そんなベロニカの言葉を聞いて伯爵は黒曜石ような目を細めて笑う。
いつも無愛想な顔をしているのに表情を崩して猫を愛で続ける伯爵にむぅっと頬を膨らませたベロニカは、
「猫ちゃんじゃなくて私の事一番に構ってくれないと嫌です」
と伯爵に体当たりする。
「ちょっ、何張り合ってるんですか!?」
「にゃあー」
ソファーに座る伯爵の隣に勢いよく座ったベロニカは猫のような金色の瞳を向けて、
「にゃあーにゃあ、にゃあ、にゃあ、にゃあ」
と何度も猫の鳴き真似を繰り返す。
「えーと、ベロニカ様?」
「……伯爵が構ってくれないなら猫ちゃんもう見せないにゃあ」
ベロニカは猫ちゃんばっかり撫でられてずるいと拗ねた口調でそう言った。