ヘアゴム
「ヘアゴム、返すな」
「陽色先輩! 結ばなくて良いですから!!」
私はいつも髪を一つ結びにしている。
「ヘアゴムを返してくれれば」
「心配しなくても大丈夫。
ちゃんと元通りにするから」
そんな事言われても心臓が……。
まぎらわそう…。
「陽色先輩! 先輩の近くにヘアゴムで髪を結んだ人が居たと思うのですが、どうしてその人に借りなかったんですか?」
その人に借りていたら1位を取れたかもしれないのに…。
「ヘアゴムって見た瞬間、莉珠に借りたいって思ったんだよね…。出来た。どう?」
私は結ばれた後ろ髪を触ってみる。
「…しっかり結べてます」
「上手でしょ? 莉珠が髪を結んでる所何度も見てたら、覚えちゃった」