花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
◇花嫁に。
「……え、もう一度お願いできますか。今私には、長宗我部様が紗梛を花嫁にと聞こえたのですが……綾の間違いでは?」
旦那様はそう長宗我部様に問いかける。
「当主、それで間違っていない。私は、櫻月紗梛を花嫁に迎えたいと思っている」
「その理由をお聞かせくださいませんか? 紗梛はこの家の庶子でして」
「生まれなど関係ない。其方が愛した女性の子なんだろう? ……まぁ、とにかく本日私は紗梛さんを連れて帰る」
え、連れて帰る!?それって長宗我部家のお屋敷にってことだよね?
だからすぐに旦那様のところに来たのか……だけど、私が彼に見初められたなんて聞いたら綾様は黙っていないだろう。