花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
「紗梛の身代わりは完璧だ。代わりに行った女学校の成績は優秀で毎回トップ、生徒代表に選ばれるほどの成績優秀者で言葉遣いも名家の令嬢としても美しく品があると学校内でも言われているがそれは君がいない時の学校の評価である。だが、本物の君の時はガサツで言葉遣いもなっていない。抜き打ちの試験では全く出来ていない」
え、そうなの?
始めて知ったわ……だけど、こんなに褒められるだなんて嬉しくなる。
「それは、体調が優れてないときよっ」
「そうか。それなら仕方ないか……今日は元気そうだから抜き打ちでテストをしようか。女学校の教師に知り合いがいてね。知り合いに後から来てもらうとするよ」
「……え」
「あぁ。評判の良いご当主の後継という皆からの評価のことだけど全て香席の香元をしていたのは紗梛だったんだろう。実のところ、私はね先日の香席とその前の香席に身分は隠して出席させてもらっていた。今回含めた三回、綾さんではなかった」
そう断言し驚いたのは私だけではない。旦那様と奥様だった。だけどなんで分かったのだろうか……香元をしているのが私だって。