花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
「ありがとうございます……長宗我部さん」
「あぁ。慣れない馬車だと降りる時怖いだろう? 少し高さがあるから」
「はい。少しだけ、怖かったです。でも、長宗我部様のおかげで平気でした」
少しだけ、高さがあって立ちすくんでしまったから助かった。
「そうか、良かった」
私は地面に降りる御者の人に「ありがとうございました!」と言って長宗我部様の隣を歩いて行くと、大きなお屋敷……いや、お城かなと思わせるような建物が立っていた。
いつだったか、絵本で見たことのあるような異国風のお城のようで思わず「すごい……!」と声が出てしまう。