花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
***
松島さんの案内で足を進めると、櫻月にはない階段があった。それも登りも下りも大変な箱階段ではなく、少し足を上げれば登れる。これが異国のお屋敷なのね!すごいなぁ……
「……旦那様、紗梛様。こちらのお部屋です」
案内されたのは階段を上がって手前の部屋。松島さんは手を握り掌側で扉を三回叩く。すると中から返事が聞こえて扉が開かれて中に入った。
中に入ると綺麗な着物を着ている女性が二人いて私を見ると礼をした。