花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
「花言葉は愛らしい、だからね。……話はこの辺にしてお茶にしようか」
「はい」
「紗梛さん、洋装似合うね。可愛いよ」
それだけ言うと士貴様に案内されお庭の中にある丸い机と背もたれのある椅子に彼と向かい合わせになって座る。
「今日は玉露を用意させていただきました。旨みや甘味が強くてとても美味しいお茶です。お菓子は北の方の小豆を使用し炊いた餡子で作ったものです」
目の前には右に湯呑みに入った緑茶と左に梅の形の銘々皿に羊羹と黒文字が乗せられていた。