花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
「――ん、今日は何か味が違うな」
あれから時間は経ち、もう朝食の時間だ。
「あ、あの……私が、今日は作らせていただきました。朝、早くに目が覚めてしまって……お口に合いませんでしたか?」
「とても美味しいよ、紗梛。紗梛は料理も美味いんだな」
そう言って士貴様は微笑んでくれてモグモグと口を動かす。
「ありがとうございます、士貴様。嬉しいです」
「あぁ……本当に美味い。味噌汁も美味い」
「良かったです。今日は赤味噌と白味噌を合わせ味噌にしてみたんです」
赤と白を合わせるとお互いの独特な風味を消して良い部分を補い合って旨みが増す。コクがあって美味しい味噌になるのだ。