花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
すると「士貴さま?」と声を掛けられ、振り向くと七十代くらいの男性がいた。
「望月か。久しぶりだな」
「お久しぶりでございます、士貴様」
「あぁ、望月……元気そうで良かったよ。彼女は櫻月紗梛さん。紗梛さん、こっちは望月と言ってね父の執事だ」
士貴様のお父様の執事さん?だけど、松島さんもお父様の執事だったと言っていた気が……
「この邸で執事長を務めている望月でございます、よろしくお願いいたしますね……さぁ玄関口で立ち話もなんですから入りましょう。大旦那様と大奥様がお待ちですから」
「そうだな。紗梛、入ろう」
私は士貴様と中に入るとそこには、きっと士貴様のご両親だろうか壮年の男性とそのご夫人が並び迎えてくれた。