花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
「遠路はるばるよく帰ってきたね、士貴。それから紗梛さんもよく来てくれた」
「あぁ、ただいま。父さん、母さん」
「元気そうで良かったよ、それに可愛らしいお嬢さんだね」
「お、お初にお目にかかります。櫻月紗梛と申します。よろしくお願いいたします」
私がお辞儀をすると士貴様のお母様が手を叩いて「お二人共お疲れなのだから早く入ってもらいましょう」と言った。
すると「そうだな」と士貴様とお父さんは言葉が重なった。なんだか親子なんだなぁと思ったら少し笑みが溢れた。