花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
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「――今日はね、紗梛さんがいらっしゃるからたくさん作ったのよ」
居間に案内されて私はお二人から自己紹介をされた。
「改めまして、私は士貴の父の貴文です。そして妻の郁世です」
私も改めて名前を言うと「よろしく」と言われてお辞儀をした。
そんな中、大きな机には、たくさんの菓子が並べられている。
お団子やお饅頭、羊羹にカステラなどが並べられていて他にも異国のお菓子も並んでいた。
「紗梛さん、母は菓子を作るのが好きでね。すまないが食べてあげてほしい」
そういえば、士貴様も私をあの屋敷に連れて来てもらった時に色々お菓子を出してもてなしてくれたな……と思ったら、ご両親のいいとこ取りをしてるんだなと密かに思った。