花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
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馬車で移動して、次は如何にも高級そうな高貴な方が来そうな和菓子屋さんへとやって来た。
ここは、休み処もあるため休憩のために立ち寄ることにした。
「ここのあんみつは絶品なのよ」
「そうなんですね、楽しみです」
郁世様とお話をしていると、ぜんざいが二つ運ばれてきた。机に置かれたあんみつは、硝子のお椀にはゆらゆらと白玉が浮かんでいて心太とふっくらと粒がある餡子が盛られていた。横には小さな小鉢に黒蜜があって甘い香りがする。
「じゃあ、いただきましょうか」
「はい。いただきます」
手を合わせると黒蜜を全体にかけてから箸を持って心太を口に運ぶ。四角く切られているコロコロした心太は、舌先で押せばほろりとくずれるほど柔らかい。コリコリとした食感と黒蜜の濃厚な甘さがよく合って美味しい。