花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
「それに……それよりも、君を慕っている。紗梛を愛しているんだ。妻にしたいと心から願っている。そのためなら、世間なんて関係ない。必ず守るよ」
「……あ、ありがとうございます。わ、私も士貴様のことをお慕いしております」
私は、これまで辛かったことは士貴様に会うまでの試練だったのだと思ったら過去の自分が報われた気がした。悪いことではなかったんだと、少しだけ思えた。
「……それじゃ、難しい話は置いといて次は夜会の服装を決めましょうか」
「そうだな」
郁世様と貴文様はそう言うと、夜会について話を始めた。そして郁世様と服を決めるため衣装部屋へ行くと、士貴様と相談しながら決めて行った。